

HIDランプとは?
HIDランプ……「High Intensity Discharge Lamp」の頭文字から付けられた呼称です。 「高輝度放電灯」とも呼ばれ、「高圧ナトリウムランプ」「メタルハイドランプ」「水銀ランプ」の総称です。
HIDランプの特長
ランプ1灯当たりの光束が大きく、大規模空間の照明に適しています。電球やハロゲンランプに比べ、発光効率(ランプ効率)に優れていて経済的です。長寿命の為、ランニングコスト、メンテナンスコストを低減できます。効率重視から演色性重視のもの迄種類が豊富です。(色温度が太陽光とほぼ同じものも存在します。)
HIDランプの構造
HIDランプは種類により封入物や構成材料が異なりますが、基本構造、原理はほぼ同一です。
- 硬質ガラス製の外管
- 発光物質に適合した素材の発光管
- 発光管を支えながら電気を供給する金属部材
- 発光管の両端の電極(放電を発生させる)
- 発光物質
- その他、発光管保護の為の窒素ガスなど
から構成されています。発光物質は、ランプの種類によって異なります。 電極間の放電を利用している為、白熱電球などと違い、フィラメントが無いものが殆どです。
ランプの種類による発光物質・発光管の内容
ランプの種類 |
平発光物質 |
発光管の素材 |
高圧ナトリウムランプ |
ナトリウム(蒸気) |
透光性アルミナセラミックス |
メタルハイドランプ |
金属ハロゲン化合物と水銀 |
|
水銀ランプ |
水銀、アルゴンガス |
石英ガラスなどが使用されることが多い |
HIDランプの発光原理
基本原理は、 ●電極から放出される電子が反対側の曲へ引かれ、移動する。 ●移動する過程で発光物質の原子と衝突する。 ●発光物質の原子が光を放出する。
発光のしくみは蛍光ランプとよく似ていますが、蛍光ランプと違い、点灯中の水銀原子の密度と温度が圧倒的に高いため、その発光スペクトルは種々な波長範囲に及びます。蛍光ランプなどの低圧放電においては、人間の目には見えない紫外線が殆どですが、HIDランプでは水銀の密度、温度の上昇により、人間の目に見える波長の光を放射します。HIDランプでは、発光管内の温度の高温化が必要な為、スイッチを入れてから高温状態で安定して発光するまで数分間時間を要します。消灯直後は発光管が再度温度上昇し、放電を再開するまで再点灯しません。
HIDランプの点灯
HIDランプを点灯するには、蛍光ランプ同様に安定器が必要ですが、フィラメントを内蔵した水銀ランプ(チョークレス水銀ランプ)には安定器不要です。放電を開始させるにはいくつかの方式があります。代表的なものは次の通りです。
方式 |
詳細 |
回路図 |
補助電極を使用する方式 |
通電と同時に主電極と補助電極の間に発生する放電を引き金に主電極に放電を誘発し、点灯させる方法。パルス発生装置は備えていません。 |
 |
パルス発生装置を使用する方式 |
補助電極の取付けが困難な場合や、効果が十分に得られない場合にとる方法。高電圧又は瞬間的なパルスを主電極間に又は主電極・補助電極間に加えて点灯させる方式です。パルス発生装置はランプ又は安定器に内蔵されています。 |
 |
HIDランプの特性
ランプ効率
ランプ効率が最も高いのは、高圧ナトリウムランプで、次いでメタルハイドランプ、水銀ランプの順になります。水銀ランプを1とすると、高圧ランプは約2.4,ネオセラは約2.1,メタルハイドランプは約2倍となります。尚、演色性を改善した高圧ナトリウムランプでは、一般型高圧ナトリウムランプよりランプ効率は低くなります。また、取り扱いが簡単な安定器不要のチョークレス水銀ランプも、一般的水銀ランプより効率が低くなります。
色温度と演色性
ランプの使用目的によってさまざまな光色が用意されています。
HIDランプの種類 |
色温度 |
光の色 |
水銀ランプ(蛍光水銀ランプ) |
3900K |
ピンクがかった白色 |
メタルハイドランプ |
3500K |
温白色 |
高演色形高圧ナトリウムランプ |
2500K |
白熱電球に近い色 |
演色性で最も優れているのはメタルハイドランプです。演色性が優れ高い効率を維持したものがネオセラです。高圧ナトリウムランプの一般形はメタルハイドランプと比較すると劣ります。但し、「高演色形」や「演色改善形」のように演色性を改善した高圧ナトリウムランプもあります。

|
|
|